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点と点

探していない本と出会う

図書館の棚と検索アルゴリズムは、発見について正反対の設計をしている

ABC編集部2026.07.15 5分
探していない本と出会う

図書館で、目当ての本の隣にあった別の一冊を借りて帰った。そんな経験はないだろうか。

図書館で、目当ての本の隣にあった別の一冊を借りて帰った。そんな経験はないだろうか。あれは偶然のようでいて、実のところは設計の産物だ。

図書館の分類——デューイ十進分類法のような仕組みは、近い主題の本を物理的に近い場所に置く。だから目当ての一冊を探しに行くと、その周りには「まだ知らなかった隣人」が並んでいることになる。分類は本を探すための道具であると同時に、探していない本と出会わせる装置でもあった。棚を歩く時間そのものが、仕掛けだった。

検索エンジンは、正反対の親切さを持っている。問いを入れれば、答えらしきものを最短で渡してくれる。棚を歩かせない。無駄足を踏ませない。効率という物差しで測るなら、これは圧倒的な進歩だ。実際、私たちはもうこの速さなしでは調べものができない。

どちらが良い、という話をしたいわけではない。分類された棚は、その分類を決めた人の世界の見方に縛られてもいる。検索がなければ辿り着けなかった知識も、数え切れないほどある。ただ、探していないものに出会う余地は、放っておくと静かに痩せていく。最短距離ばかりを歩いていると、隣に何があったかを、そもそも知らないままになる。

だから時々、棚を歩きたくなる。目的のない時間を、少しだけ確保しておきたくなる。点と点をつなぐのは、たいてい、目当てだった一冊のほうではない。あの日たまたま隣にあって、なんとなく手に取ってしまった、あの一冊のほうだ。

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